ALS療養中に備える身元保証と死後事務|居宅ケアマネ連携の解決事例
身寄りのないALS療養中の男性が、入院時の身元保証と死後事務委任を整え、在宅看取り後の葬儀・資産処理まで進めた居宅ケアマネ連携の解決事例です。
死後事務 /
進行性疾患では、「もしも」の備えを元気なうちに決めておくことが、本人と支援者双方の安心につながります。 この解決事例は、居宅介護支援事業所からの相談を起点に、ALS療養中の男性の身元保証・死後事務・経済面の不安までを一体で整えたケースです。
この事例で分かること
- ALS療養中に身元保証と死後事務をセットで考える意味
- 友人による簡易な財産管理だけでは足りない場面
- ご逝去後の葬儀・埋葬・資産処理までの一連の流れ
相談内容
身寄りのない独居の男性で、ALS療養中でした。嚥下障害もみられるようになり、誤飲・窒息などのリスクが高まっていました。万が一に備え、身元保証と死後事務委任契約を結んでおきたいとの希望です。
金銭管理や身の回りの世話をご友人が任されていましたが、ご友人自身も体調が優れません。自宅マンションは住宅ローン返済中で、手持ち資金に余裕がなく、将来の経済状況も心配されていました。主治医からは、病状の進行が早く、余命5年程度との所見がありました。
ご本人の状況(概要)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年齢 | 69歳 |
| 介護認定 | 要介護5 |
| 手帳 | 身障1種1級(ALSによる上肢機能障害1級、体幹機能障害3級。下肢筋力低下により歩行困難) |
| ADL | 全介助 |
| 経済状況 | 年金14万円/月、預貯金150万円 |
| 本人の意向 | 足先しか動かせない状態になり、痰が絡みやすく夜間ひとりは不安。延命は希望しない。できれば最期まで自宅で支援を受けたい |
ご両親は他界、兄弟姉妹はなく、緊急時に頼れる近親者はいませんでした。未婚で、持ち家(ローン返済中のマンション)です。
必要とされていた支援は、入院時の身元保証、遺言書作成支援、不動産売却支援、死後事務委任です。
課題
- 入院時の身元保証・医療同意の受け皿がない
- 死後の手続き・遺品・資産処理の希望が未整備
- ローン返済中の住居と手元資金の不安
対応内容
- ケアマネ同行でアセスメント訪問
もしものときの入院手続きや、死後事務委任について説明し、承諾を得ました。
- 契約締結
ケアマネジャーとご友人同席のもと約款を読み合わせ、身元保証および死後事務委任の契約を締結しました。ご友人から将来の金銭的不安も共有されました。
- 経済面の整理
マンション売却後も居住可能なリースバック方式による自宅売却を提案。向こう25年間のライフシミュレーションを作成し、不動産手続きを実施しました。
- 遺言書作成支援
医師の所見を踏まえ、資産処理が円滑に進むよう公正証書遺言の作成を支援しました。
ご逝去後の支援(死後事務委任)
- 成約から数日後、訪問ヘルパーから「呼吸がない」との連絡があり、ケアマネジャー経由で共有。主治医に至急連絡し往診を手配。救急搬送せず、在宅で看取りをしていただきました。
- 連絡から1時間後に当法人スタッフが到着。1時間30分後にご遺体の回送配車を整え、ご友人のお別れの後、安置施設へ回送しました。
- 死亡診断書を受け取り、ご友人と相談のうえ葬儀・埋葬を手配。出生地に菩提寺はありましたが墓守がいないため、「合祀して墓じまいしてほしい」という本人希望どおり実施しました。
- 喪主代行として小規模な葬儀を主宰。お友達や関係者に参列いただき、初七日法要まで実施し、合祀しました。
- 遺言執行人の指示のもと不動産売却支援を実施。ケアマネジャーの協力も得て福祉用具を返却し、医療費・介護費の精算を行いました。
結果
- 在宅生活と緊急時対応の体制を、友人・ケアマネ・ヘルパーと連携して整えられた
- ご逝去後も、生前の意向に沿った死後事務を実行できた
- 経済面の不安に対し、リースバックと遺言で備えを置けた
ポイント
- 緊急時や病状悪化時の入院・医療同意を円滑にするための支援
- 住み慣れた自宅で安心して暮らすための支援
- 経済的な不安を解消するための支援
- 万が一の場合の手続き、遺品、資産処理の支援