デジタル終活とは、インターネットやデジタル環境での自身の情報や遺産を整理し、未来に備える準備のことです。
しかし、現代社会では、私たちがデジタル環境で扱う情報はますます膨大になっています。例えば、スマートフォン内の写真や動画、ネット銀行口座、SNSアカウントなどが挙げられます。
このような状況下で、私たちはデジタル遺産を整理し、未来に向けて備えることが必要になっています。
このページでは、デジタル終活の重要性ややり方、対象物について解説しています。
デジタルデータを整理することは非常に困難ですが、このページで紹介するステップや注意点に従って実践することで、安心感を持って未来に備えることができます。
目次
デジタル終活とは
近年、私たちの生活はデジタル化が進み、大切な情報や記録もデジタル形式で存在しています。そこで登場するのが「デジタル終活」です。
デジタル終活とは、個人がオンライン上で保有するデジタルデータやアカウントを整理し、未来に備える準備を行うことです。
デジタル終活の重要性は増しており、突然の出来事に備えて大切な情報を整理し、遺族や関係者がスムーズに遺産を管理できるようにすることが目的です。
遺族が不安や混乱に陥ることなく、遺産を引き継ぐためにもデジタル終活は欠かせない要素となっています。
デジタル終活の重要性とその理由
デジタル終活を行うことは、私たちのデジタルな遺産や情報を整理し、将来に備えるために欠かせないものです。
以下は、デジタル終活が重要な理由です。
大切な情報へのアクセスを確保するため
突然の事故や病気などで、自分や家族が対応できない状況に陥った場合、デジタル終活を行っていれば、大切な情報へのアクセスが確保されます。
連絡先やアカウント情報などが整理されていれば、友人や知人が訃報を受け取り、適切な措置を取ることができるでしょう。
不測の事態に備えるため
人生には予測不可能な出来事がつきものです。デジタル終活を通じて、万が一の事態に備えることができます。
大切な情報や遺言、遺産の管理をきちんと整理しておくことで、後に残される人々が混乱を避け、円滑な手続きが行えるでしょう。
デジタル財産の整理と保護のため
ネットバンクや仮想通貨など、デジタルで管理されている財産も存在します。デジタル終活を怠ると、これらの財産が後から見つからないままになってしまう可能性があります。
整理しておけば、遺族や相続人が適切に財産を引き継ぐことができます。
争いやトラブルを未然に防ぐため
デジタル終活によって、遺言や遺産に関する情報を整理し、文書化することで、家族や遺族間の争いやトラブルを未然に防ぐことができます。
明確な意志表明や情報提供があれば、遺族間のコミュニケーションを円滑にし、遺産分割などの問題をスムーズに解決できるでしょう。
デジタル終活の対象物(デジタル遺品)とは
スマートフォン、パソコン内のデータ
- 画像、動画などのデータフォルダ
- アドレス帳、住所録
- 電子書籍
- 日記、ブログ、メモ
- 各種アプリ内のデータ
インターネット上のデータ
- SNS・ブログなどのアカウント情報
- クラウドストレージ(Google Drive・Dropboxなど)に保存されているデータ
お金に関するデータ
- 銀行・ネットバンク・証券会社、仮想通貨取引所などの口座情報
- 有料サブスクリプションサービスのアカウント情報
デジタル終活のやり方・ステップ
デジタル終活は以下のステップで取り組むことでスムーズに進めることができます。
- 自分が持つデジタルデータを把握する
- データを分類し、不要なデータは処分する
- 必要情報をエンディングノートに記載する
1. 自分が持つデジタルデータを把握する
日常生活には、私たちの意識しないうちにさまざまなデジタルデータが溢れています。気づかぬうちに、メールや写真、ファイルなどが我々のデジタルな足跡として存在しています。
こうしたデジタルデータは、私たちの生活に深く根付いているため、意識せずに扱っていることも少なくありません。
しかし、実際には私たちが持つデジタルデータは、想像以上に多岐にわたります。
そのため、自身が保有しているデジタルデータの全体像を把握することは、デジタル終活の重要な第一歩と言えます。
例えば、以下のようなデータが挙げられます。参考にしながら、自分が扱っているデータはすべて把握しましょう。
2. データを分類し、不要なデータは処分する
データを整理したら、それぞれのデータを「残すもの」と「処分するもの」の2つに分類します。
「処分するもの」に入れた写真や動画などのデータは、きちんと削除しましょう。ゴミ箱にも注意して中身を空にすることをお忘れなく。特に、他人には見られたくないものについては注意が必要です。
古い携帯電話やスマートフォン、外付けの記憶媒体(USBやHDD、CD、DVDなど)があれば、これらも整理の対象に含めましょう。
一方、「残すもの」の中には他人に見られたくないものもあるかもしれません。そういったデータは、安全なパスワードで保護して管理しましょう。
3. 必要情報をエンディングノートに記載する
大切なデータを残すための手続きとして、必要情報をエンディングノートに記載することが重要です。
具体的には、パソコンやスマートフォンへのログインパスワード、利用中のオンラインサービスのログイン情報、クラウドに保存したデータの場所、そして死後のデータの取り扱い方法などを詳しく書き留めておきます。
ただし、ネットバンクや証券会社など、直接お金に関わる情報については、エンディングノートに詳細を記載するよりも、その情報がどこにあるかの指示を残し、さらに注意を払うことが賢明です。
情報漏洩を防ぐため、一段のセキュリティ対策を施すことが求められます。
また、SNSアカウントについては、亡くなった後も自動的に削除されることはありません。SNSアカウントの削除を希望する場合は、その旨を運営会社に伝える必要があります。
そのため、エンディングノートには、SNSアカウントの削除手続きを運営会社に依頼する旨を記載しておくことが良い方法です。
デジタル終活における注意
特に以下のポイントに留意することで、デジタル終活を円滑に進めることができます。
これらのステップを踏むことで、自分や大切な人のデジタル遺産を適切に整理し、安心感を持って将来に備えることができます。
不要なアカウントは解約、削除する
過去に作成したまま放置している不要なオンラインアカウントは、セキュリティリスクを増大させる恐れがあります。
デジタル終活の一環として、これらのアカウントを確認し、必要のないものは適切に解約や削除を行いましょう。
例えば、使用しなくなったソーシャルメディアやオンラインショッピング(Amazon・楽天など)のアカウントを整理することで、情報漏洩の心配を軽減できます。また、アカウントが継続していることに気づかずに、無駄に課金され続けるという事態も防ぐことができます。
情報を更新し続ける
デジタル終活を一度行ったからといって、それで終わりではありません。定期的に情報を見直し、必要なアップデートや変更を行うことが重要です。
例えば、新たなオンラインサービスを利用する際には、そのアカウント情報やパスワードを家族がアクセスしやすい場所に記録しておくと良いでしょう。
また、重要なファイルやデータは定期的にバックアップを取り、保存先を確認することも忘れずに行いましょう。
すべてを処分して削除する必要はない
デジタル終活において、全てを処分して削除する必要はありません。大切な思い出や情報を残すこともできます。
写真や動画、メッセージなど、残したいデータは適切な方法で保存し、後世に伝えることができます。遺族があなたの思い出を共有できるように、残すべきデータを選ぶことも重要です。
まとめ
デジタル終活は、現代社会においてますます重要性を増しています。
デジタル終活に取り組むことで、大切な情報を整理し、未来に備えることができ、さらには遺族や相続人に迷惑をかけずにすむようになるでしょう。
デジタル終活は、自分自身の未来に備え、遺族や相続人への負担を軽減するために、積極的に取り組んでいきましょう。