墓じまいとは?件数増加の背景とメリット・デメリットを解説

墓じまいとは?件数増加の背景とメリット・デメリットを解説

墓じまいについて、最近よく耳にするようになりました。お墓を管理するためにかかる費用や手間を減らすために、墓じまいを選ぶ方が増えています。

しかしながら、お墓というものには人々の思い出や想い出が詰まっています。そのため、墓じまいをする際には精神的な負担がかかることもあります。

このページでは、墓じまいについて詳しく解説しています。墓じまいとは何か、墓じまいのデメリットやメリット、費用相場について、わかりやすく説明しています。また、墓じまい後の選択肢についても解説しています。

このページを読むことで、墓じまいに関する疑問や不安を解消することができます。また、墓じまいを検討している方には、墓じまいをする上での注意点や選択肢についても紹介しています。

墓じまいとは何か?

「墓じまい」とは、文字通り墓地に建てられたお墓を撤去・解体することを指します。

一般的に、現在のお墓を墓じまいした後の遺骨は、他の墓地に移転したり、永代供養墓地に改葬したりされます。

墓じまいは、様々な理由によって選択されることがあります。例えば、お墓の再活用や家族の事情、墓地の管理や維持が難しい場合が挙げられます。

墓じまいの件数は増えている

厚生労働省『衛生行政報告例』によると、改葬(事実上の墓じまい)の件数は、2021年度の調査時点で、年間118,975件となっています。

10年前の2011年度の同様の調査では76,662件でしたが、1.5倍以上もの件数が増加しています。

調査年度改葬件数
2021年度118,975件
2016年度97,317件
2011年度76,662件
引用:衛生行政報告例

墓じまいの件数が増えている背景

墓じまいの件数が増えている背景には、社会的な変化や個人の意識の変化など、さまざまな要因が影響しています。

以下は、墓じまいの増加に関連する主な背景について解説します。

お墓の維持に経済的な負担がかかる

言わずもがな、お墓の維持や管理には一定の費用がかかります。

経済的な理由から、墓地の維持費や永代供養料が重い負担となることが墓じまいの増加につながっていると言えます。

経済的な負担を軽減するために、墓じまいをし他の埋葬方法を選択する人が増えています。

故人が生前から希望している

墓じまいが増える一因として、故人自身が生前からお墓を持たずに自然葬や他の埋葬方法を希望しているというケースがあります。

個人の意識の変化や環境に対する配慮から、お墓を持たない選択をする人が増加していることが挙げられます。

家族構成が変化している、後継者がいない

家族構成の変化や核家族化の進展により、お墓の管理を引き継ぐ後継者が限られるケースが増えています。

子供のいない高齢者や親族間のコミュニケーションが希薄化している場合、お墓の維持が難しくなり墓じまいがを選択するという傾向があります。

自然葬など埋葬方法が多様化している

近年では、伝統的なお墓以外の埋葬方法が広がっています。

納骨堂や散骨場、自然葬施設などが増加しており、個人のライフスタイルや宗教観に合わせた選択が可能となっています。

これらの選択肢が墓地利用の多様化に寄与しています。

墓地のスペースが不足している

現代社会では、人口の増加と都市化の進展により、墓地のスペースが不足している地域が増えています。特に、東京などの都心部では、公営墓地の募集に対して応募が多数殺到するという状況が続いています。

限られたスペースに墓地を確保することが難しくなり、墓じまいが選択肢の一つとなっています。

墓じまいのメリット

続いて、墓じまいをすることのメリットについて説明します。

お墓の維持の負担が軽減される

墓じまいをする最も大きなメリットの一つは、お墓の維持にかかる負担が軽減されることです。

お墓の維持には定期的な清掃や墓石の修繕などの費用がかかりますが、墓じまいを行うことでこれらの費用を節約できます。

特に、遠方に住んでいる場合や後継者がいない場合など、お墓の管理が難しい状況では、墓じまいが合理的な選択となるでしょう。

お墓の後継者問題が解消される

お墓は代々受け継がれるものであり、後継者問題が発生することがあります。

後継者が複数いる場合、お墓の管理や相続に関して意見が食い違うことがあり、家族間の争いに発展する可能性もあります。

しかし、墓じまいを選択することで後継者問題を解消できます。遺族が一致して墓じまいを決断することで、円満な解決が可能となります。

地域の墓地事情に適用する

地域によっては墓地のスペースが限られていることがあります。そのため、新たなお墓を建てることが難しい場合もあります。

しかし、墓じまいをすることで既存のお墓が空き地となり、他の方々が新たにお墓を建てる機会が生まれます。

地域の墓地事情を考慮し、有効な利用方法として墓じまいが選ばれることもあります。

墓じまいのデメリット

墓じまいはメリットばかりではありません。デメリットもありますのでそれらを紹介します。

精神的な負担がかかる

墓じまいは、故人への思いやりや敬意を持って行われるべきですが、遺族にとっては精神的な負担がかかることもあります。

長い間家族の絆を象徴してきたお墓を手放すことは、感情的に辛い選択となるでしょう。

そのため、墓じまいを検討する際には、遺族の気持ちを尊重し、心のケアを行うことが重要です。

祭祀の機会が減少する

お墓は故人を偲び、供養する場所であり、特定の日には家族や親族が集まって祭祀を行うことがあります。

しかし、墓じまいを行うと祭祀の機会が減少してしまうことがあります。

墓地に行くことがなくなることで、故人への思いを伝える機会が減るため、遺族は心に寂しさを感じることがあるかもしれません。

墓じまいに費用がかかる

墓じまいを行う際には、専門業者に依頼することが一般的です。そのため、墓じまいには一定の費用がかかることがあります。

墓石の撤去やお墓の解体など、作業内容によって費用は異なりますが、予算を考慮して墓じまいを決定することが大切です。

ただし、長期的なお墓の維持費用を考えると、墓じまいによる経済的なメリットも見込めることがあります。

墓じまいの費用相場について

墓じまいにかかる費用の相場は、地域や業者によって異なります。

お墓の規模や状態、墓地の立地などによっても価格が変動します。

一般的には数十万円から数百万円程度の費用がかかることが一般的ですが、より詳細な見積もりを知りたい場合は、複数の業者に見積もりを依頼することがおすすめです。

墓じまいの費用には以下のような項目が含まれることがあります。

お墓の撤去に関する費用

お墓の撤去には、墓石や墓地の清掃、遺骨の取り扱いなどが含まれます。お墓の状態やサイズによって費用が変わるため、業者による見積もりが必要です。

行政手続きに関する費用

墓じまいをする場合、行政手続きが必要となることがあります。例えば、墓地の所有権の移転手続きや許可申請などが挙げられます。これらの手続きには費用がかかる場合がありますので、事前に確認しておくことが重要です。

お墓の改葬先に関する費用

墓じまいをした後の遺骨の改葬先によっても費用が変わります。新しい墓地や納骨堂、樹木葬などに改葬する場合には、その費用も考慮する必要があります。

墓じまいに補助金が出る可能性も

また、墓じまいには、自治体から補助金が出る可能性があります。

この補助金は、国からの補助金ではなく、地方公共団体や自治体からの補助金です。そのため、手続きや助成条件、助成額は、お墓がある自治体ごとに異なります。

最新の情報は、お墓がある地域の役所やホームページでご確認ください。まずは、Googleなどの検索エンジンで「墓じまい 補助金 (自治体名)」で検索してみてください。

墓じまい後の対応

墓じまい後、故人を尊重し心に残る形で供養するためには、さまざまな選択肢があります。

墓じまい後の対応方法は個人や家族の信仰やライフスタイルによって異なり、故人の意向を尊重しつつ適切な選択を行うことが重要です。

以下は、墓じまい後の主な対応方法について詳しく解説します。

  1. 別の場所の墓に改葬する
  2. 納骨堂に改葬する
  3. 樹木葬にする
  4. 永代供養にする
  5. 散骨する
  6. 手元供養にする

1. 別の場所の墓に改葬する

墓じまい後、故人の遺骨を別の墓地に改葬する方法があります。家族の墓や親しい場所に改葬することで、故人との絆を大切にし、供養を続けることができます。

遺族にとって心地よい場所で故人を供養することができるため、改葬は一つの選択肢として検討されることがあります。

2. 納骨堂に改葬する

納骨堂は、多くの遺骨を納める施設であり、小さなスペースで故人を供養することができます。墓地のスペースが不足している場合や、都心部にお住まいの方に人気があります。

自然に囲まれた落ち着いた環境で、故人の供養を行いたいと考える遺族に適しています。

3. 樹木葬にする

樹木葬は、故人の遺骨を樹木の根元に埋葬し、自然の中で還元させる方法です。自然環境の中で故人を眠らせることで、生前の思い出や故人との絆を感じることができます。

緑豊かな場所で供養を行いたいと願う遺族にとって、樹木葬は意義深い選択肢となります。

4. 永代供養にする

永代供養は、お寺や霊園などで行われる、代々にわたって永遠に供養を続けてもらう方法です。家族の代々の供養を一括して行いたい場合や、長期的な供養を希望する遺族に適しています。

故人とその家族を代々にわたって大切に供養することができるため、永代供養は家族の絆を深める手段となります。

5. 散骨する

散骨は、故人の遺骨を海や山など自然の中に散布する方法です。広大な自然の中で故人と一体となり、自然と共に生きる営みを感じることができます。

故人が愛した自然環境や場所と一体化することで、遺族にとって特別な思い出となることでしょう。

6. 手元供養にする

手元供養は、故人の遺骨を手元に保管し、自宅などで供養する方法です。家族や親しい人と一緒にいつでも供養を行うことができるため、特別な思い出として大切にされます。

手元供養は故人との身近なつながりを感じることができる方法であり、遺族の心に深く刻まれるでしょう。

まとめ

墓じまいは、お墓の維持費用や後継者問題の解消など、さまざまなメリットを持っています。しかし、故人への思いやりや供養の機会の減少など、デメリットもあります。

墓じまい後は、故人を尊重し心に残る形で供養することが重要です。納骨堂や樹木葬、永代供養など、多様な選択肢があります。お墓の管理が難しい状況であっても、大切な人との絆を大切にすることができる方法を選びましょう。

もし、墓じまいを検討している方がいらっしゃる場合は、事前に業者に相談することをおすすめします。また、補助金制度がある場合もあるため、自治体や地域の情報を確認することも大切です。

墓じまいは、大切な人との別れの場でもあります。故人を偲び、供養することは、遺族にとって大切な思い出となることでしょう。踏み切る前に慎重に考え、家族と話し合いながら、最適な選択肢を見つけてください。

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