遺言書を書くことは、誰にとっても重要なことです。作成することで、自分の望む形で財産を分けることができ、家族間の争いを回避することができます。
このページでは、遺言書を作成するメリットやデメリット、どういう人が遺言書を書くべきなのかなどについて詳しく説明していきます。
遺産分割や相続に関して自分の意思を明確にしたい、けれども遺言書を書くべきなのか悩んでいるという方は、ぜひこのページをご覧ください。
目次
遺言書を書くメリット
まず、遺言書を書くこと自体のメリットについてお伝えします。主に以下のようなものが挙げられます。
- 相続人間の相続争い(争続)を予防できる
- 自分の意思で遺産分割に関して決められる
- 相続手続きを最小限に抑えられる
相続人間の相続争い(争続)を予防できる
遺言書を残すことで、相続人同士が遺産をめぐって争う可能性を低減させることができます。
万が一遺言書がなかった場合、相続が発生すると、相続人全員の意見が一致しなければ、遺産分割の手続きを進めることはできません。
相続人はそれぞれ自分の考えに従って意見をするでしょうが、遺産ひとつひとつにおいての相続方法を一つの答えとして決定することは非常に難しいです。
遺言書に相続人とその相続割合を明確に記述することで、家族や相続人たちの意見の食い違いを未然に防ぐことができるのです。
遺産分割を巡る争いは家族間の不和を引き起こす原因となりますが、遺言書の存在により円満な相続が可能となります。
自分の意思で遺産分割に関して決められる
遺言書の中では、「誰に何をどれだけの割合で」相続させるかを指定することができます。家族や親族に対して自分の意思で財産を分けることができます。
また、相続人以外の人にも相続させることができます。
例えば、家族以外の親しい友人や長年のお世話になった方にも一部の財産を相続させたい場合には、遺言書にその旨を記載することができます。
自分の思いや希望を明確にし、家族や親族に対して相続させるだけでなく、大切な人々にも遺産を残すことができるのです。
相続手続きを最小限に抑えられる
遺言書があると、相続手続きがスムーズに進行するため、相続にかかる手続きや時間を最小限に抑えることができます。
遺言書には、財産の分割や相続人の指定が明確に記載されているため、相続人間の納得を得やすくなります。
その結果、相続手続きが円滑に進み、早期に解決することができます。
遺言書の形式別のメリット
遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3つの方式の種類があります。
ここでは、特に一般的な「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」に焦点を当てて、それぞれのメリットについて説明します。
自筆証書遺言を選ぶメリット
自筆証書遺言を選ぶメリットは下記が挙げられます。
- 手軽にどこでも書ける
- 費用がかからない
- 書いた内容を誰にも知られることがない
手軽にどこでも書ける
自筆証書遺言は、手書きで作成する遺言書の形式です。
専門家に依頼する公正証書遺言と比較すると、手続きが簡単であり、自宅でいつでも手軽に作成することができます。
費用がかからない
公正証書遺言の場合、作成手数料がかかります。手数料は、遺言書に書く財産の額とその人数から決定しますが、少なくとも5,000円、多いと数万円から数十万円がかかります。
また、少なくとも2名必要な証人を専門家に依頼すれば、その分の日当が発生します。
一方、自筆証書遺言であれば、これら費用がかかりません。
書いた内容を誰にも知られることがない
自筆証書遺言のメリットとして、書いた内容を誰にも知られることがない点が挙げられます。
公正証書遺言の場合、遺言書の内容が証人や公証人に開示されるため、プライバシーの面で不安を感じる方もいるかもしれません。
一方、自筆証書遺言は、作成者自身が保管しており、必要に応じて公証人に開示することができますが、それ以外の場合は、書いた内容を誰にも知られることがありません。
公正証書遺言を選ぶメリット
続いて、公正証書遺言を選ぶメリットは下記が挙げられます。
- 形式に沿っているので遺言が無効になることがない
- 紛失防止・改ざん防止ができる
- 自筆する必要がない
- すぐに相続手続きを開始できる
形式に沿っているので遺言が無効になることがない
公正証書遺言は、法律に定められた形式に沿って作成されるため、遺言が無効になるリスクが非常に低いです。
法的な手続きが適切に行われた公正証書遺言は、法的に有効な文書として扱われます。
紛失防止・改ざん防止ができる
公正証書遺言は、専門家や公証人が作成・保管するため、紛失や改ざんのリスクが非常に低いです。
大切な文書を確実に保管しておきたい方にとっては、公正証書遺言が適しています。
自筆する必要がない
公正証書遺言は専門家が作成するため、自筆する手間が不要です。
書き方に自信がない方や、手書きを避けたい方、障害によって自筆するのが難しい方にとっては便利な選択肢です。
すぐに相続手続きを開始できる
自筆証書遺言の場合、家庭裁判所にて検認という手続きが必要ですが、公正証書遺言の場合は検認の必要がありません。
そのため、公正証書遺言であれば、手続きによる負担がなく、すぐに相続手続きを開始できます。
遺言書を書くことのデメリット
一方で、遺言書を作成することによるデメリットも考慮する必要があります。
例えば、遺言書を作成することで、不利益を被る相続人が生じる可能性があるということです。
財産の配分が公正でない場合、不平等感や不満を感じる相続人がいるかもしれません。
また、遺言書が不正確であった場合は、法的な争いが発生する可能性があります。
そうなってしまうと、時間と費用がかかることが多く、家族や親族間の関係にも悪影響を与える場合があります。
遺言書は重要な文書であり、家族や相続人たちに対して納得のいく内容にすることが大切です。
そのため、十分な理解と検討を重ねた上で遺言書を作成することが必要です。
誰であっても遺言書は書いた方が良い
デメリットをお伝えしましたが、それでもやはり遺言書を作成することは重要です。
誰であっても遺言書は書いた方が良いと言えます。
遺言書がない場合、法定相続が適用され、自分の意思とは異なる相続が進行する可能性があるからです。
さらに、遺言書を作成することで、自分の大切な人たちに思いを伝えることができます。遺言書を書くことは、自分の人生の最後に残す大切なメッセージです。
したがって、遺産分割や相続に関して自分の意思を明確にしたいと考える方は、ぜひ遺言書を書くことを検討してください。
特に遺言書を書くことをおすすめする人
遺言書を書くことは誰にでも重要なこととお伝えしましたが、以下に該当する方は特に遺言書を作成することを前向き検討するべきです。
- 多くの遺産がある人
- 遺産の中に不動産が含まれる人
- 相続人が多い・相続人同士の仲が悪い人
- 相続人以外に遺産を相続させたい人
- 身寄りがない・家族がいない人
それぞれについて解説していきます。
多くの遺産がある人
多額の財産を持っている方は、遺言書を作成することが大切です。
遺産が多い場合、相続人間でのトラブルのリスクが高まる可能性があるからです。
遺産を公平に分けることが難しい場合は、遺言書に明確な指示を残すことで、家族や相続人たちの不安を軽減することができます。
遺産の中に不動産が含まれる人
不動産を所有している場合、相続人間での問題が起こる可能性が高くなります。
不動産の相続は特に複雑であり、家族間のトラブルの原因になることがあります。
遺言書を作成して、不動産の相続について具体的で明確な指示を残すことで、相続人間の不和を防止することができます。
相続人が多い・相続人同士の仲が悪い人
相続人が多い場合、財産の分割が複雑になります。
また、相続人同士の仲が悪い場合、遺産分割に関してトラブルが発生するリスクが高くなります。
遺言書によって、相続人間のトラブルを未然に防ぐことができます。
相続人以外に遺産を相続させたい人
法定相続人以外にも遺産を相続させたい場合は、遺言書の作成が必要です。
法定相続人に含まれない人は、遺言がなければ原則、遺産を受け取ることができません。
例えば、家族ではないが、生前にお世話になった人や慈善団体に遺産を残したいと思っている場合、遺言書が必要となります。
相続人に該当しない人にも自分の財産を受け取ってほしいと考える人は遺言書の作成をしましょう。
身寄りがない・家族がいない人
身寄りがない・家族がいない人は、特に遺言書を作成することを積極的に検討してください。
家族がいない場合、財産の相続先が不明確になりがちです。最終的に国庫に入ってしまう可能性もあります。
遺言書を作成して、自分の財産が希望する相手に相続されるように指示を残すことが重要です。
遺言書を作成する上でトラブルを起こさないためにできる対策
ここまでお読みになって、遺言書作成を前向きに検討し始めた方もいるでしょう。
そこで、遺言書を作成する際、トラブルを未然に防ぐためにできる対策と注意点をお伝えします。
できるだけ早い段階で遺言書を作成する
遺言書は、15歳以上の誰でも作成可能ですが、できるだけ早い段階で作成することを強くおすすめします。
高齢になると突然の病気や怪我で亡くなるリスクが高まりますので、遺言書の作成は先延ばしにせず、早めに取り掛かることが重要です。
また、遺言書は一度作成しておくと長く有効なため、将来を見据えて早めの対策を行いましょう。
遺言書を定期的に見直す
遺言書を一度作成したら、そのまま放置してしまうことは避けるべきです。人生には変化がつきものであり、家族構成や財産状況、望みなども時間とともに変わってきます。
定期的に遺言書を見直し、最新の状況に合わせて修正を加えることで、内容が時代遅れになったり、不適切な相続が行われるリスクを軽減できます。
遺言書は自分の意思を反映するための重要な文書ですから、その有効性を保つためにも定期的な更新を心がけましょう。
専門家に相談しながら遺言書を作成する
遺言書の作成は一般の文書とは異なり、法的効力が求められます。そのため、専門家のサポートを受けながら作成することが重要です。
公証人や弁護士などの専門家に相談することで、間違いなく法的要件を満たす遺言書を作成することができます。
また、専門家のアドバイスを仰ぐことで、トラブルを防ぐための適切な指示や記載内容を確認できます。
遺言書の作成には費用がかかることもありますが、トラブル回避や遺産分割の円滑化を考慮すれば、その価値は大きいと言えます。
まとめ
遺言書作成は、自分の意思を反映するために、誰にでも重要なことです。
遺言書を作成しておくことで、法定相続による財産分割や、不明確な相続人間でのトラブルを避けることができます。また、自分の思いを大切な人たちに伝えることもできます。
遺言書作成を検討している方は、専門家に相談しながら自分の状況に合わせた選択肢を検討しましょう。
遺言書を作成することで、自分の望みを反映することができます。また、遺言書を作成することで、家族や相続人たちの不安を軽減することができます。
ぜひ、遺言書の作成を検討してみてください。